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2006年9月 9日 (土)

グレーゾーン金利は廃止すべき

1.グレーゾーン金利とは

 消費者金融でお金を借りると、会社や商品によって多少違いますが、年27.375%とか25.55%などの高い利子がかかります。利子率は法律によって規制されています。無制限の高金利を禁止するためです。

 ところがこの法律が2つあります。出資法という法律では上限が年29.2%、利息制限法という法律では上限が年20%です。この20%から29.2%の間の金利がグレーゾーン金利です。消費者金融の各社はほとんどの商品の金利をこのグレーゾーン金利の間に設定しています。

 私は今から13年前、56歳でそれまで勤めていた外資系のコンピュータ会社をリストラ促進策を利用して早期退職し、大手の消費者金融会社に勤めました。教育部の顧問ということで、社員教育にかかわりました。

 入社したとき、それまで消費者金融のことは全く知らなかったので、教育部の同僚から業界や会社や商品について詳しく教えてもらいました。そのとき不思議に思ったのがこのグレーゾーン金利です。なぜ法律が2つあるのか、なぜ上限利率に違いがあるのか、20%の上限は無意味ではないのかと質問しました。回答はありましたが、素人の私には納得できませんでした。

2.グレーゾーン金利は撤廃すべき

 アイフルの過剰取立てのなどに対する世論の批判を受けて、金融庁は消費者金融を規制する貸金業規正法を改正しようとしています。ところが業界や自民党の族議員の要請を受けて、このグレーゾーン金利を8年間温存する特例を設けようとしています。

 改正法施行後、消費者金融の経営の考慮してグレーゾーン金利の引き下げは3年程度かけることになっていますが、個人向けは「返済期限1年以内で50万円まで」「同半年以内で30万円まで」の範囲内なら、一定の条件に当てはまるものは、年28%の金利で貸せるような特例を設けて、これを最長5年程度適用できる時限立法にしようというものです。8年間年28%の利子で貸し出せるのです。「金利を下げると信用力の低い人には貸せなくなる。業者も、借りられなくなる人も困る。少額短期の貸付なら、高金利でも返済負担は重くならない」というのが理由です。

 これでは今と変わりません。上記理由はこじつけにすぎません。大手の消費者金融各社は大きな利益を上げています。ものづくりをする同程度の規模の会社に比べて、消費者金融会社の利益は格段に大きいのです。金融庁の改正案は、消費者金融の高金利に苦しむ利用者に目を向けるのではなく、業者や業者と利害を共にする一部の政治家のほうに向いているといってもいいと思います。

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