山本一力を読む
平成19年3月31日に山本一力が直木賞をとることになった「あかね空」の映画化作品が封切られます。主演はNHKの大河ドラマ「風林火山」で活躍中の内野聖陽と中谷美紀(恥ずかしながらこの女優については知りませんでした)です。江戸時代、市井の片隅で貧しくも家族で助け合って生きる温かい庶民のお話です。 山本一力の小説には歴史上有名な英雄はほとんど出てきません。藤沢周平の小説が山形県の小さな藩の貧しい武士が主人公であるに対して、山本一力の小説は江戸の下町深川や富岡八幡宮や大川(隅田川)の近くで暮らす貧しい町民が主人公です。2人の作家が描く世界は異なるものの、くしくも同じような舞台回しで人気を得ているのは不思議ではありません。共通してストーリーの背景に流れているのは、登場人物の人間としての温かさと家族に対する愛です。 また山本一力の深川近辺に対する愛着は大変なもので、よくここまで同じところを書けるものと感心させます。たまに生まれ故郷の土佐が出てきますが、後はほとんど深川が小説の舞台です。 山本一力は1948年高知県生まれ、いろいろな人生経験を経た末、巨額の借金を抱え、その借金を返すために作家になったという変わった経歴の持ち主です。 私はこの2年余り吉村昭と高杉良と山本一力にはまっています。 2005年7月に初めて山本一力の世界に夢中になって以来、「損料屋喜八郎始末控え」「大川わたり」「家族力」「あかね空」「深川駕籠」「いっぽん桜」「はぐれ牡丹」「蒼龍」「欅しぐれ」「梅咲きぬ」「お神酒徳利」「深川黄表紙掛取り帖」「峠越え」「だいこん」「背負い富士」「赤絵の桜(損料屋喜八郎始末控)」「辰巳八景」「草笛の音次郎」「牡丹酒」「道三堀のさくら」を読みました。現在は「銭売り賽蔵」を読んでいます。全て我孫子市の図書館で借りて読んだものです。
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