やっと共済年金が厚生年金に統合される(NO.840)
平成27年10月から被用者年金一元化法が施行されることになりました。
被用者年金はサラリーマンなどが加入している厚生年金、国家公務員が加入している国家公務員共済年金、地方公務員が加入している地方公務員共済年金、私立学校の教職員が加入している私学共済年金の4つに分かれていました。
一元化法によって共済年金は廃止され、10月からは公務員も私学の教職員も厚生年金の加入者となります。
統合の目的は、官民格差をなくすことです。今までは公務員のほうが民間より給付が手厚く、保険料は安く済むという官民格差がありました。
私は2004年9月の手賀沼通信第78号で被用者年金一元化の必要性について書きました。また2011年10月15日の手賀沼通信ブログでは、「『年金支給年齢引き上げ』だけでなくほかにやることがある」とのテーマで被用者年金の一元化を早くやるべきと書きました。
それからかなり年数が経過しましたが、公務員の抵抗を無視してでも年金一元化に踏み切ったということは、それだけ国や地方自治体の財政が苦しくなり、国や地方自治体の借金が増えているということです。今後福祉の給付を減らさざるを得なくなると思いますが、その前に官民格差を是正しなければ国民の理解が得られないことを、お役人も悟ったということではないでしょうか。
被用者年金一元化の主な内容です。
・共済年金を廃止
公務員、私学の教職員も2015年の10月から厚生年金に加入
・保険料率を統一
15年10月時点の保険料率は公務員が17.278%、私学の教職員が13.557%で、ともに厚生年金の17.827%より低い。段階的に引き上げ、公務員は2018年、私学の教職員は2027年以降に厚生年金(その時点で18.3%)と統一
・職域加算を廃止
平均的な公務員で月2万円程度を受け取れる「職域加算」を廃止するが、代わりの公務員向け新年金を創設
・遺族年金
遺族共済年金を受給している人が亡くなった場合、一定の条件を満たせば遺族が引き続き受給できる「転給」の仕組みを廃止
・公務員OBの年金減額
共済年金制度ができる前の旧恩給制度時代に働いていた人は、共済年金の受給額を最大で1割減額(2013年から実施済み)。年金に投入されている税財源の削減が目的
遅きに失した改革でしたが、年金制度にはまだまだ問題が残っています。次の大きな改革は国民年金の保険料の未納をなくすことです。これには国民年金(基礎年金)の保険料を税方式に変えるのが一番ではないでしょうか。
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