平成31年2月12日ノーベル賞作家カズオ・イシグロの「日の名残り」を読みました。カズオ・イシグロは一昨年の2017年10月にノーベル文学賞を受賞した作家です。
なんで今頃読んだかという理由ですが、受賞を聞いてから数日後に我孫子図書館に予約したところ、既に30数人の予約が入っていてやっと今月の7日に手に入ったのです。1年と3か月もかかりました。もっと早く読めると思っていたのですが、こんなに待たされるとは予想外でした。
終活で本の在庫を始末して以後、私は本は買わなくなりました。時刻表やプロ野球選手名鑑など手元に置いておきたい本以外は、すべて我孫子図書館で借りています。
佐伯泰英の新刊の小説なども30数人待ちになるのですが、待つのは数か月です。調べてみたら「日の名残り」は在庫が1冊しかなかったからです。佐伯泰英の本は図書館では数冊購入しています。それと「日の名残り」は360ページほどの文庫本ですが、会話が少なく1ページに活字がぎっしり詰まっていて読むのに時間がかかる本でした。
前置きが長くなってしまいました。
さて「日の名残り」は期待通りのいかにもイギリスの本という感じでした。
カズオ・イシグロ氏は1954年長崎で海洋学者の家庭に生まれ、5歳の時両親とともにイギリスにわたり、すべての学校教育をイギリスで受け、国籍もイギリスに移し、イギリス女性と結婚して、日本語もほとんど解さない作家です。著作は当然英語で書かれています。
大邸宅の執事が自動車で旅をしながら1人称で過去の出来事を語るという形で書かれています。最近小説に面白さを求めて読む私にとっては期待はずれでしたが、ノーベル賞作家にそんな期待をしては失礼なのでしょう。重厚な内容で読み応えのある本だったと言えます。
カズオ・イシグロの本は「日の名残り」と同時に、「わたしを離さないで」という本も予約して、こちらは昨年3月に読むことができました。
作風は全く違っていて、臓器の提供者と介護人、クローン人間が登場する内容でした。その本の解説に、「いわばカズオ・イシグロ自身の頭の中で醸造された奇怪な妄想をとことん膨らませ、持ち前の緻密な書きぶりを駆使して強引かつ精緻に書ききったような迫力がある」とありました。
「日の名残り」はアンソニー・ホプキンス主演で映画化されました。「わたしを離さないで」はイギリスで映画化され、日本でも綾瀬はるか主演でテレビドラマ化され、蜷川幸雄演出で舞台化もされています。
カズオ・イシグロ氏の本を読んで、ノーベル賞作家というものがほんの少し見えてきた感じでした。
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