手放したくない本-その21 堀さんの追悼文集(NO.1762)
堀キヨさんは下宿のおばさんです。私が一橋大学に入学したとき、同じ松山南校出身の同級生の白方さんと一緒に堀さん宅に下宿しました。1年後に私の弟が加わり卒業までお世話になりました。
それから堀さんが74歳で亡くなるまでの31年間、3人の私たち下宿生の家族も含めてのお付き合いとなりました。堀さんは生涯独身で私たち3人のいわば東京での母親となった感じです。私の母とほぼ同じ年齢でした。
下宿していたころはよくしかられましたが、一緒に飲みに行ったり、キャンプに出掛けたりして、下宿のおばさんと下宿人という立場を超えて、まるで家族のような間柄となりました。そしてそのお付き合いは3人の配偶者や子供たち、その親戚まで広がりました。
堀さんは若い時、昭和通商という国策会社に勤務して、当時の女性としては珍しくシンガポールに赴任した経験もあり、多くの友人にも囲まれていました。ちょっと謎めいた魅力の持ち主でした。
ところが74歳で突然白血病にかかり、あっという間になくなりました。私が50歳の時でした。その時のショックは今も覚えています。
なんとか堀さんとの思い出を形に残したいと考えて、文集を作ることを思いつきました。堀さんを通じて、堀さんの親せきや、堀さんの友人の方とも知り合いとなっていたため、その方々にも声をかけて思い出の文章や写真を寄せていただきました。18人の方から記念の文章と写真が集まりました。
そして堀さんの死後約1年後に「風は南風」というタイトルで記念文集を完成させることができました。
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