2019年8月16日 (金)

「新聞という病」を読む(NO.1263)

 令和元年8月16日、門田隆将の「新聞という病」を読みました。

 読売新聞の書籍広告にこの本が載っていたので、我孫子図書館に予約、数か月待たされてやっと読むことができました。大変面白い本でした。

 著者は中央大学政治学科を卒業、新潮社に入社、「週刊新潮」編集部に所属、記者、デスク、次長、副部長を経て2008年に独立、現在は作家、ジャーナリストとして活躍しています。

 この本は書き下ろしではなく、産経新聞や雑誌「正論」に書いた原稿をベースにした論評集です。全体を通じて、「一部の新聞は正確に報道していない、事実を捻じ曲げている、ネット時代に対応できていない、このままでは生き残れない、だけどどうしても生き残ってもらわなければならない新聞もある」という論調になっています。

 目次は以下の通りです。

第一章 朝鮮半島危機に何を報じたか

(論点) 韓国への制裁を発動せよ

第二章 報道は歴史を直視しているか

(論点) 二二八事件 坂井徳章の「正義と勇気」

第三章 「謝罪」の後の主義主張

(論点) 「吉田調書」報道 朝日新聞の悪意

第四章 命より憲法という観念論

(論点) 現実と憲法 邦人の命を守れない日本

第五章 なぜ「現実」を報道できないか

(論点) 少年Aは「更生していない」という事実

第六章 ”ビラ”になった新聞

(論点) 朝日的手法による日本の損害

第七章 自ら放棄する言論の自由

(論点) 「新潮45」休刊と日本のジャーナリズム

 この本で「病」の張本人として一番に取り上げられているのは朝日新聞です。そして新聞業界全体もやり玉にあがっています。

 門田氏は「おわりに」で以下のように書いています。

 「本書は、本来の姿を見失い、消え去る新聞と、危機の中でもしっかりと生き残る新聞を『何が分かつ』のか、見極めるための『手助け』を目指したものである。全編にわたって新聞に対して非常に厳しい論評を書かせてもらった理由もそこにある。

 しかし、私自身は、実は本書が新聞記者たちへの『励ましの書』であり、『応援の書』であると思っている。」

 なお余談ですが、私も平成14年9月12日に「朝日新聞の大罪」というブログを書きました。東日本大震災の福島原発事故の際、「所員の9割が所長命令に違反して撤退した」という誤報を朝刊一面の載せたことと、従軍慰安婦報道でも記事の一部を取り消しながら謝罪しなかったことについて、記者会見を開いて謝罪した時のことです。

 また平成13年10月の手賀沼通信では、「日本と日本人をダメにした三悪」という記事を書き、日本人をダメにした三悪の一つに朝日新聞を取り上げています。

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2018年12月11日 (火)

剣客商売全19冊を読む(NO.1191)

 平成30年12月9日池波正太郎の剣客商売全19冊を読み終わりました。

 9月23日に鬼平犯科帳全24冊を読んだのに引き続いて、剣客商売を読みました。そして今は3大シリーズの残り、仕掛人・藤枝梅安シリーズを読み始めています。

 19冊のうち、短編集が12冊、長編が7冊です。長編のうち上下になっている物語が1つあるので、長編はお話としては6編です。長編の番外編の2つを除くと、秋山小兵衛、秋山大治郎の親子が主人公で、その2人の剣で悪役をやっつけるという痛快な物語です。

 同じようなパターンでありながら、読者を飽きさせない語り口は池波正太郎ならではと、感心しながら約2か月半で読み終わりました。読み終わるのがもったいない感じでした。

 剣客商売シリーズもテレビドラマ化されています。鬼平犯科帳は先々代の松本幸四郎と中村吉衛門親子が演じましたが、剣客商売は4人の俳優が演じたシリーズとなっています。

 山縣勲版、中村又五郎版、藤田まこと版、北大路欣也版があり、いずれもフジテレビ系で放送されました。北大路版はまだ続いており、12月21日にも最新版が放送される予定です。

 池波正太郎は剣客商売シリーズを18年間にわたって描き続けました。そして最後の「浮沈」を書き終えて間もなく67歳で亡くなりました。鬼平犯科帳は最後の編は未完となっています。

 池波正太郎氏の死は早すぎました。作者はもっともっと書きたかったと思いますし、読者ももっともっと読みたかったという思いです。

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2015年1月14日 (水)

驚くべき佐伯泰英の執筆速度(NO.780)

 平成27年1月10日佐伯泰英の本について調べました。

 私は佐伯泰英の本にはまっていますが、一昨年9月10日に190冊目の「居眠り磐音江戸双紙43 徒然の冬」を読んでから、しばらく佐伯泰英から離れました。

 私の場合佐伯泰英の本は図書館で借りて読んでいます。新刊を図書館で予約するとかなり待たされます。読みたい人が大勢予約するからです。

 しばらく休もうと一昨年の9月10日以後、昨年は1冊も読まず、今年の1月10日にしばらくぶりに佐伯泰英のホームページに行ってみました。

 すると20冊も新刊書が出ていました。シリーズごとにまとめました。

・「居眠り磐音江戸双紙」 5冊

・「鎌倉河岸捕物控」 3冊

・「夏目影二郎狩始末旅」 1冊

・「新古着屋総兵衛」 3冊

・「交代寄合伊那衆異聞」 3冊

・「吉原裏同心」 3冊

・「新酔いどれ小藤次」 2冊

 「居眠り磐音江戸双紙43 徒然の冬」が平成25年6月出版ですから、月1冊以上のスピードで新刊を出版しています。驚くべき速さと言えます。

 いままで読んだ続きをさっそく2冊予約したら、待ち時間なく手に入りました。しばらくは連続して読めそうです。

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2014年1月16日 (木)

ふるさと文庫「福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇」を読む(NO.680)

 平成26年1月15日辻野弥生さんの著書「福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇」を読みました。

 辻野弥生さんは流山市在住で、「ずいひつ流星」を創刊し定期的に送ってくれています。「手賀沼通信」の読者でもあります。この著書もいただいたものです。

 「福田村事件」は流山市の崙書房出版から、ふるさと文庫206として昨年7月出版されました。流山市に出版社があり、ふるさと文庫を出しているということは知りませんでした。まず流山市に敬意を表します。

 「福田村事件」の内容は大変ショッキングなものでした。大変重たく、その詳細を述べるにしのびませんが、辻野さんは「はじめに」の中で次のように書いています。

「平成9年(1997)、私は流山市の年金ホームに暮すお年寄りの一代記をまとめるにあたって、関東大震災に関するいくばくかの資料に目を通す機会があった。その際、被害の大きさもさることながら、私の心を釘づけにしたものは、『朝鮮人虐殺』という信じがたい惨劇の記録であった。(中略)

 虐殺されたのは朝鮮人ばかりでなく、中国人や日本人がいたことも忘れてはならない。

 福田村事件は、虐殺事件を調べるなかで出会った痛ましい事件であるが、関東大震災から90年、当時の様子を語れる人は無にひとしい。この事件は加害者も被害者という側面を持っており、いまさら加害者をあばきたて、糾弾しようというのではない。ただ私の驚きと衝撃を教訓にし、記録にとどめて後世に伝えたいという一心で、重いテーマに取り組んで見た。」

 辻野さんは当時の資料を綿密に調べ、現場にも出向き、事件を知る人や生き残った人から証言を引き出しています。それらを客観的に記録したものがこの著書です。

 なるべく多くの方にぜひ読んでいただきたいと思います。

・「福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇」 

 辻野弥生著 崙書房出版株式会社 1260円

 崙書房の電話番号:04-7158-0035  

 

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2013年8月23日 (金)

日本語教師大川豊さんの2冊の本(NO.644)

 元の会社の後輩で友人の大川豊さんが2冊目の本を出しました。

 大川さんは2003年にそれまで勤めていた日本アイ・ビー・エムを早期退職し、中国の蘇州大学に日本語教師として赴任しました。それ以後

・蘇州大学(蘇州)    2年

・南京工業大学(南京) 3年

・中南民族大学(武漢) 2年

・蘭州大学(蘭州)    3年

 の10年間、日本語を教え続けています。そしてこの9月からは蘭州大学での4年目の教師生活に入ろうとしています。

 中国は9月新学期開始、翌年7月終了の2学期制です。途中休み期間は、学期が終了する7月途中から8月末までと、春節(旧正月で中国のお正月)前後の冬休みの2回です。大川さんは、お休みには中国を旅行した後、日本に戻ってゆっくり充電します。

 大川さんは家族を神奈川県に残し、中国でこんな単身赴任の生活を10年続けました。中国と中国人が好き、日本語を教えることが好きでなければ、到底できないことだと思います。

 大川さんは近況報告を毎月メールで親しい方に送っています。中国事情や中国での生活、休み中の旅行、日本語を学ぶ学生の気質や事情、教えた内容、生徒との交流など、さまざまなテーマで生き生きとした文章が届きます。いつも楽しみにしているメールです。

 大川豊さんはその報告を2冊の本にまとめました。

・「中国で日本語を教える」蘇州・南京編 長崎出版 2008年 1200円+税

・「中国の日本語教師」団塊世代は中国を目指す 長崎出版 2013年 1500円+税 これは1冊目の続きで、武漢・蘭州編です

 2冊目の帯書きには「中国の懐に飛び込んで10年! 外資系企業を早期退職した企業戦士が選んだ第2の人生は、中国の大学生に日本語を教えることだった。 -あなたの知らなかった現代の中国が見えてくる! 激動の中国滞在記」とあります。

 大変面白い本です。お薦めします。

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2008年5月10日 (土)

佐伯泰英の小説が面白い

 最近佐伯泰英と浅田次郎の小説を読み漁っています。その前に山本一力、吉村昭、高杉良の小説をほとんど読みつくして、次にはまったのが佐伯泰英と浅田次郎です。

 今までに佐伯泰英の小説は16冊、浅田次郎の本は30冊読みました。浅田次郎の30冊には小説だけでなくエッセイも入っています。

 今回は佐伯泰英について書いてみましょう。

 大きい書店に行くと、かならず佐伯泰英のコーナーがあります。すべて時代小説、すべて文庫本です。よく売れているようです。

 佐伯泰英は冒険小説や国際謀略小説も書いていますが、コーナーに並んでいるのは時代小説ばかりです。すっかり時代小説作家のイメージが定着してしまったのでしょう。

 テレビドラマでもよく放送されます。以前NHKで放映された「陽炎の辻」シリーズ、今テレビ東京で放送されている「密命~寒月霞斬り」シリーズがそれです。

 佐伯泰英の時代小説はシリーズものです。次のように10のシリーズがあり、それぞれ天下無敵の剣客が登場し、悪い相手をやっつけるという筋書きです。痛快な小説ばかりです。

①密命 

②夏目影二郎始末旅

③古着屋総兵衛影始末

④鎌倉河岸捕物控

⑤吉原裏同心

⑥長崎絵師通吏辰次郎

⑦居眠磐音江戸双紙

⑧悪松

⑨酔いどれ小藤次留書

⑩交代寄合伊那衆異聞 

 大変な多作家で、よくもこれだけ書き分けられるなと思います。背景はすべて江戸時代ですが、少しずつ時代を変えて、歴史上の人物や事件も取り入れられており、その博識ぶりに感心します。乱作という感じはしません。

 電車の中や病院の待合室などでの暇つぶしに、気楽に読める肩のこらない小説と言えるでしょう。

著者に関係するHPです。

http://members3.jcom.home.ne.jp/ynitta/(手賀沼へいらっしゃい)
http://members3.jcom.home.ne.jp/nittay/(手賀沼通信バックナンバー)
http://www.josuikai.net/semi/koyukai(最新の手賀沼通信)

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2007年3月28日 (水)

山本一力を読む

平成19年3月31日に山本一力が直木賞をとることになった「あかね空」の映画化作品が封切られます。主演はNHKの大河ドラマ「風林火山」で活躍中の内野聖陽と中谷美紀(恥ずかしながらこの女優については知りませんでした)です。江戸時代、市井の片隅で貧しくも家族で助け合って生きる温かい庶民のお話です。

 山本一力の小説には歴史上有名な英雄はほとんど出てきません。藤沢周平の小説が山形県の小さな藩の貧しい武士が主人公であるに対して、山本一力の小説は江戸の下町深川や富岡八幡宮や大川(隅田川)の近くで暮らす貧しい町民が主人公です。2人の作家が描く世界は異なるものの、くしくも同じような舞台回しで人気を得ているのは不思議ではありません。共通してストーリーの背景に流れているのは、登場人物の人間としての温かさと家族に対する愛です。

 また山本一力の深川近辺に対する愛着は大変なもので、よくここまで同じところを書けるものと感心させます。たまに生まれ故郷の土佐が出てきますが、後はほとんど深川が小説の舞台です。

 山本一力は1948年高知県生まれ、いろいろな人生経験を経た末、巨額の借金を抱え、その借金を返すために作家になったという変わった経歴の持ち主です。

 私はこの2年余り吉村昭と高杉良と山本一力にはまっています。

2005年7月に初めて山本一力の世界に夢中になって以来、「損料屋喜八郎始末控え」「大川わたり」「家族力」「あかね空」「深川駕籠」「いっぽん桜」「はぐれ牡丹」「蒼龍」「欅しぐれ」「梅咲きぬ」「お神酒徳利」「深川黄表紙掛取り帖」「峠越え」「だいこん」「背負い富士」「赤絵の桜(損料屋喜八郎始末控)」「辰巳八景」「草笛の音次郎」「牡丹酒」「道三堀のさくら」を読みました。現在は「銭売り賽蔵」を読んでいます。全て我孫子市の図書館で借りて読んだものです。

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