2009年10月 7日 (水)

テレビドラマ「遥かなる絆」の原作を読む

 平成21年9月NHKのテレビドラマ「遥かなる絆」の原作を読みました。

 「遥かなる絆」は平成21年4月18日から5月23日まで6回にわたって放送され注目を浴びたドラマです。

 原作は城戸久枝さんの「あの戦争から遠くはなれて 私につながる歴史をたどる旅」です。

 城戸久枝さんは私のふるさと愛媛県伊予市出身、郡中小学校、港南中学校(郡中中学校が合併して校名変更)、松山南高校の後輩に当たります。恥ずかしながら最近まで知りませんでした。こんなすばらしい人が人口3万人くらいの小さな街から生まれたことを誇りに思います。

 城戸久枝さんはこのノンフィクションで「第39回大宅壮一ノンフィクション賞」「第30回講談社ノンフィクション賞」を受賞しています。

 「あの戦争から遠くはなれて」は城戸久枝さんの父親が中国で育ち日本に帰国するまでをたどる第1部と久枝さんが徳島大学在学中に国費留学生として吉林大学に留学し、父の歩いた道をたどり、帰国後中国残留孤児と係った第2部からなる大作です。

 久枝さんの父親城戸幹氏は満州国軍司令官だった城戸弥三郎の長男として生まれ、終戦直後の混乱した満州で母親と離れ、「孫玉福」と名づけられて中国人の養母に育てられました。 

 極貧の中で「小鬼子(シャオグイズ)」といわれながら、優秀な成績で高校まで進みました。日本人のため大学受験には合格できませんでしたが、中国の会社に就職、中国と日本の国交が回復する以前に日本に何百通という手紙を書いて、やっと帰国の道が開け、文化大革命のさなか愛媛県の八幡浜に帰国を果たしました。

 実に中国残留孤児の調査が始まり続々と帰国が始まる10年以上も前のことでした。

 この作品を読んで気づいたことは、父親と久枝さん二人の信念、気力、粘り強さ、行動力の素晴らしさでした。また中国人の懐の広さです。中国は日本とか日本人種には過大な拒否反応を示すようですが、人と人のつながりという点では日本人以上の絆を大切にするように感じました。

 NHKのドラマは見すごしましたので、10月24日にDVDが発売されたら、レンタル店で借りてきて見ようと思っています。

 

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2009年9月 7日 (月)

「大聖堂-果てしなき世界」を読む

 平成21年9月6日、ケン・フォレットの「大聖堂-果てしなき世界」を読み終わりました。久しぶりにすばらしい小説を読み終わったという爽快感に浸ることができました。

 「大聖堂-果てしなき世界」はソフトバンク文庫全3巻、どれも700ページに及ぶ大作です。

 1989年に発表された前作「大聖堂」は全世界で1500万部の大ベストセラーとなりました。本書は18年後の2007年に発表された続編で、発売後1年余りで全世界27カ国で350万部の売り上げとなりました。

 私はケン・フォレット大ファン、出世作の「針の目」以後の作品はほとんど読んでいます。「針の目」は翻訳で読みましたが、その後の作品はすべて英語のペーパーブックを読みました。

 最近は歳をとったためか英語の本を読む根気がなくなり、「大聖堂-果てしなき世界」は日本語で読むこととなりました。

 今回の物語は前作の約200年後の14世紀中ごろです。主人公は前作と同様大聖堂を創る建築職人です。前作の主人公の末裔となっています。

 下記は下巻にでている解説記事、児玉清氏(俳優)の「一度飛び込んだら、もう絶対抜けられない面白地獄」の内容の一部です。ちょっと長いですが引用させていただきます。

 『「大聖堂-果てしなき世界」の原題は「World Without End」。直訳すれば「果てしなき世界」と時間と空間を含めて永遠に続く世界といったところなのだろうが、実に持って意味深長なタイトルだ。

 既にこの本を読み終えた人は、大きくうなずいて読後の素晴らしき余韻にどっぷりと浸かり、至福の心境でいることと確信しているが、まさにこの物語のメインキャラクター、男女4人の織りなす、1327年から1361年までの34年間にわたる長尺人生冒険物語は、人間が生きるうえでのすべてのことを網羅した、面白人生読本としての最高の1冊。

 営々と繰り返される人間の生きることへの営みは不変であり、永遠に繰り返すという点でも「終りなき、果てしなき世界」といえよう。作者フォレットの狙いはまさしくここにある。』

 愛、恋、憎しみ、歓喜、成功、没落、戦争、病気,殺人、強姦、いじめなど人生のあらゆる営みが克明に描かれている、最高のストーリーテラー フォレットの最新作です。あなたを中世のイギリスに引き込んでくれます。

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2009年2月15日 (日)

天地人と密謀-直江兼次を描いた本

 平成21年の大河ドラマ「天地人」が好スタートを切りました。初回の視聴率は昨年の「篤姫」を抜いて、97年以降の大河ドラマでは5番目とのことです。

 登場するのは直江兼次。上杉景勝に仕えた戦国武将です。昨年の「篤姫」と同じように歴史上の脇役をドラマの主人公にしました。

 原作は火坂雅志。恥ずかしながら歴史小説の好きな私は今年の大河ドラマが始まるまで火坂雅志を知りませんでした。ウィキペディアによると、「伝奇性の強い作品が多いが、近年は本格的な大型時代小説を発表している」とありました。

 早速図書館で借りて読もうとしましたが、大河ドラマの影響で貸し出し中でした。手に入るまでには大分時間がかかるようです。

 書店の直江兼次コーナーに藤沢周平の「密謀」があるのを見つけ、図書館で借りることができました。藤沢周平の作品はほとんど読んでいるのですが、「密謀」はまだでした。

 「密謀」の主人公は直江兼次です。ハードカバーで500ページ以上の大作です。読み終わるまでに5日ほどかかりました。

 直江兼次は現在の新潟県上越市の春日山城で育ちました。その後上杉景勝に従って会津、米沢と移住しました。火坂雅志が新潟県新潟市出身、藤沢周平が山形県鶴岡市出身、2人が脇役の直江兼次を描いたのは、ふるさとの英雄を描きたかったからなのでしょうか。

 「天地人」は直江兼次を、「義」を重んじ、民を「愛」した人として描いているようです。直江兼次が「与六」と呼ばれていた幼少の頃から物語は始まります。

 「密謀」は読む前はそのタイトルから直江兼次を謀将として描いているのかと推測したのですが、「密謀」に精力を注いだのは徳川家康でした。

 物語は直江兼次がすでに上杉景勝の側近となったあとで、秀吉と家康の小牧長久手の戦いの頃から始まります。直江兼次は上杉随一の知将として描かれています。読み終わってさわやかな感じのする作品でした。

 この1年間、「天地人」を楽しみたいと思っています。

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2006年12月30日 (土)

高杉良の小説

 いよいよ平成18年も終わりに近づきましたね。

 平成18年は81冊の単行本を読みました。多分現役を離れた後ではもっとも多い数だと思います。そのほとんどは小説です。小説の中では高杉良に熱中しました。7月22日に、東京オリンピック招致の最大の功績者のフレッド和田さんを描いた「祖国へ熱き心を」を読んでから、図書館で高杉良の小説を借りまくりました。5ヶ月ほどの間に34冊を読みました。

 高杉良の小説は経済小説というジャンルに入るそうです。そのほとんどは日本の大企業をモデルとして、実名または仮名で企業の内情が赤裸々に語られます。私の学生時代の友人が実名で登場する小説もありました。綿密な取材で、実際の事件を背景にしているだけに、迫力があり、説得力があります。それに何より面白いです。まだの方はぜひ読んでみてください。

 お正月用にはちょっと欲張って「欲望産業 上下」と「小説通産省 烈風」と「続・金融腐蝕列島 再生 上下」を借りてきています。

 以下に今年読んだ小説をまとめてみました。なお、仮名で書いた小説については、高杉さんは巻末に「この作品はフィクションです。万一、現実の事件ないし状況に類似することがあったとしても、全くの偶然にすぎません」と注釈を入れています。

今年読んだ高杉良の小説
番号 タイトル 実名/仮名 モデル
1 祖国へ熱き心を 実名 フレッド・勇・和田
2 いのちの風 仮名 日本生命/弘世源太郎
3 勇気凛々 実名 ホダカ物産
4 不撓不屈 実名 TKC/飯塚毅
5 消費者金融クレジット社会の罠 実名 消費者金融/玉木英治
6 会社蘇生 仮名 大沢商会/三宅省三
7 大逆転 実名 第一銀行・三菱銀行/島村道康/長谷川重三郎/田実渉
8 金融腐蝕列島 仮名 住友銀行/磯田一郎
9 小説・ザ・外資 仮名 外資金融会社
10 大合併 実名 第一勧業銀行/井上董/横田郁
11 辞表撤回 実名 日本交通公社/丸山敏治
12 虚構の城 仮名 出光興産/不明
13 金融腐蝕列島Ⅱ呪縛上 仮名 第一勧業銀行
14 金融腐蝕列島Ⅱ呪縛下 仮名 第一勧業銀行
15 新巨大証券上 仮名 四大証券
16 新巨大証券下 仮名 四大証券
17 王国の崩壊 仮名 三越/岡田茂
18 銀行大統合 実名 興銀・第一勧銀・富士銀/西村/杉田/山本の三頭取
19 生命燃ゆ 仮名 昭和電工/垣下怜
20 濁流 上 仮名 経済界/佐藤正忠
21 濁流 下 仮名 経済界/佐藤正忠
22 人事権 仮名 損保会社
23 明日はわが身 仮名 製薬会社
24 青年社長 上 実名 ワタミフードサービス/渡邉美樹
25 青年社長 下 実名 ワタミフードサービス/渡邉美樹
26 ザ・エクセレント・カンパニー 仮名 東洋水産/森和夫/深川清司
27 辞令 仮名 会社はソニーを参考
28 あざやかな退任 仮名 モデル不明
29 管理職降格 仮名 銀座松屋又は松坂屋
30 燃ゆるとき 実名 東洋水産/森和夫
31 指名解雇 仮名 パイオニア
32 首魁の宴 仮名 経済界/佐藤正忠
33 対決 仮名 中央化学工業(モデル不明)
34 懲戒解雇 仮名 三菱油化

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2006年9月 6日 (水)

吉村昭を読む

 夏は読書の季節でした。読書の秋といわれますが、私にとっては読書の夏です。

 夏は日中は暑くて特別のイベントや約束がない限り出かけません。早朝食事前に散歩をすませ、パソコンで仕事(といっても現役時代のようなお金を稼ぐ仕事ではなく、メール送受信や原稿書きなどが主)をこなしたあとは、テレビで野球や映画を見たり、涼しいところにひっくり返って本を読みます。毎日が日曜日の退職者の特権と言えます。

 今年集中的に読んだのが吉村昭と高杉良の小説です。高杉良については別の機会に書くつもりです。

 吉村昭氏はつい先日、平成18年7月31日にすい臓がんで死去されました。享年79歳でした。新聞やテレビでその最後について報道されたのでご存知の方も多いと思います。「延命治療はしない」と遺言状にしたため、奥様の作家の津村節子さんの目の前で、自ら治療具を引き抜いて「死ぬよ」といって息を引き取ったそうです。素晴らしい最後だと思います。誰にでもできることではないでしょう。

 吉村昭の小説は今まで読んだことはなかったのですが、今年2月「アメリカ彦蔵」をはじめて読んだとき大きな感動をいただきました。それから「夜明けの雷鳴」「大黒屋光太夫」「天狗騒乱」「黒船」「桜田門外の変」「生麦事件」「朱の丸御用船」「落日の宴」「敵討」「暁の旅人」「島抜け」「破獄」「プリズンの満月」「彦九郎山河」を読みました。幕末の人物や事件を描いた小説が主でした。

 吉村昭の小説は史実を克明に調べ、それを積み上げて丁寧に描きます。会話の部分が少ないので大変読み応えがあり、時間がかかります。大好きな司馬遼太郎氏の小説は主人公に対する司馬さんのいとしさや愛情が表面に出るため、主人公に感情移入したものが多いのですが、吉村氏の小説は事実を淡々と積み上げたものが多く、主人公を冷静な目で客観的に描きあげます。司馬さんと違った味が出ていて、思わず引き込まれます。司馬遼太郎、池波正太郎、藤沢周平、山本一力などとともに、私の愛読する歴史小説作家、時代小説作家になりました。

 まだまだ読んでない作品がたくさんあります。これからも楽しみです。

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